そんなことあるわけないだろって話しと始まりの話し。
それは今でもはっきり覚えている。日付も、場所も、情景も表情も。
当時19歳になる直前の2007年の5月2日だった。下北沢のファーストキッチンでめちゃくちゃメンヘラの女の子にお勧めだから聞いてみなよってイヤホンを片方だけ渡されて耳に当てて流れてきた音楽がチャットモンチーとRADWIMPSだった。
そこから遡ること更に2、3年前に世の中では鬱屈してる10代たちを沸かせた青春パンク、メロコアを主軸にしたプチバンドブームがあった。ELLEGARDENやGO!GO!7188やlocofrankやGOING STEADYやなんかがぶわっとかたまりになって無造作に耳にお届けしてこようとしていた記憶がある。若気の至り(笑)よろしく、めちゃくちゃ尖ってて偏屈だった僕は日本のバンドが英詞の曲を歌っているのがどうしても許せないという性癖を全方位に撒き散らしていたおかげで、耳に届く前にスピッツというATフィールドにかき消されてしまってる様子を観て悦に浸っている男子高校生でした。
スピッツ
フェイクファー
今でも邦楽のアルバムジャケットで1、2を争うおしゃれなジャケットだと思ってます。
なので件の下北沢で若干のギャップを持ちつつイヤホンを手にすることになるんだけれど、鼓膜に届いたハナノユメの衝撃さたるや。そしてそれを横目にほくそ笑むメンヘラのあの子。
日本のロックめっちゃかっけえやんけ!
(ちなみにRADはme me sheを聞きました)
この日が自分にとって歴史に刻まれた日になった訳です。
耳鳴りというアルバムを未だに良く聴く。
あの人をかぶせないで
あの人を着せないで
あの人を見ないで私を見てね
あの人がそばに来たら
あなたのそばにもし来たら
私を捨ててあの人つかまえるの?
恋愛スピリッツ
いわゆる捨て曲というものがないアルバムの1枚だと思う。1曲めの東京ハチミツオーケストラから最後のひとりだけまで順番に流すと19歳当時の記憶をありありと順番に思い出せる。
特にその中でも恋愛スピリッツが自分に与えた歌詞とメロディーの世界観はチャットモンチーが持つ音楽性の理解を深めることは勿論、日本でこんな音楽が掻き鳴らされているんだというショッキングな事実を僕の中に消えることのない爪跡として10年経った今でも残すことになった。
邦楽ロックってめっちゃかっこええやん!!(本日2度目)
っていう新しい価値観をあの5月2日の下北沢は僕に植えつけてくれて、教えてくれた。
音楽が運んできてくれる感情とジャンルを自分がそれまで向いていた全く違うベクトルに向かわせてくれた日になったわけです。
そして先日そのチャットモンチーが「誕生」というアルバムをだして、そのバンド生活を完結させるという発表をしました。
うそだろ!!!
そんなことあるわけないだろ!!!
初めて行ったフェスで初めて見たバンドがチャットモンチーで。久美子が抜けてから最初に見たロッキンオンジャパンのアクトで鳥肌が止まらなくて。生きていくなかで好きな音楽のジャンルの変遷がふらふら揺蕩っていても、根底にあるスタートを忘れさせない為にチャットモンチーは存在していた。それだけでも充分意味のあることで。うまく言えないんだけど、それで良かったんだよね。
小さなキラキラしてるものが、心のどっかに消えないままずっと残っていてそれが当たり前のように更新していくものだと思っていました。
けど始まったものがいつか終わりを迎えることは抗えない摂理みたいなもんで、それがどんなに好きな音楽だろうがなんだろうがいつか必ず来るもんなんだよなと、思っていたよりすぐに冷静に受け止められた気がする。
モンバスは本当にいいフェスですよ!
活動を完結するにあたって出すアルバムの名前が「誕生」と知って、この新しい音源を聴いたときあの下北沢のファーストキッチンで受けた感動をまた味合うかもしれないし、正直全然味合わないかもしれないと思った。
けど、でも、僕はそこで誕生するであろう新しい何かをしっかり受け止めて、サラバ青春と呟いてまた2人の行く末を見守れたらと強く願いました。
追記。
ちなみに最近このタイミングで件のファーストキッチンの女の子が、結婚して出産していることを知りました。う〜ん!エモい。
ビバ!!!SNS時代!!!!